ENGLISH | JAPANESE
槍 供 養

 

スタッフ

キャスト


(解説)
下郎を人間と思わぬ武士社会の非情を描いた作品で、大河内傳次郎と辻吉郎監督がコンビを組んだ第一作である。同じ題材を扱った作品には同じ年に伊藤大輔監督が河部五郎主演で撮った『下郎』があり、一般的な評価も伊藤作品の方が高いが(キネ旬ベストテン第九位)、本作品も当時の批評に「下郎市助が死ぬまでは脚色、監督ともに、出色の出来栄えを示した」とある。

売り出し中の大河内傳次郎にとっては立廻りのない異色作だが、残されたフィルムだけでも中々の好演ぶりである。相手役は、前作の『剣と恋』に引き続き、桜木梅子が務めた。

又、昭和九年には同じく辻吉朗監督、尾上菊太郎主演、羅門光三郎らの共演で再映画化(トーキー)もされている。

なお、昭和四年の『血煙荒神山』迄は辻吉郎の名で、それ以降の作品は、郎の字を朗に改名している。

(略筋)
千葉三郎兵衛の槍を持つ下郎市助は、主用も無事に終えて主従四人で帰国の道中を続けていた。府中の宿場に着くと、旗本岡田文之進もまたここで宿をとっていた。市助は足を傷めて一足遅れて宿場に入ったものの、宿を間違えて岡田の宿に槍を持ち込んでしまった。怒った岡田文之進は、市助の首を持って主人直々に謝罪に来るならば槍を返すと云い、市助も死んで詫びる覚悟だった。しかし、主人千葉三郎兵衛は、槍はいらぬ、家来の命は大切だと市助を許したのだが、市助の決意は固く、国許の母や恋人お久に遺書を残して、切腹して果てた。 翌朝、千葉は市助の首を持って岡田から槍を受取ると、岡田は自分の頑固な旗本根性の非を深く恥じるのだった。槍に市助の位牌と遺髪を取付けて、再び淋しく帰国の途につく一行だった。


HOME
[Matsuda company logo]