MATSUDA: Nen-Pyo (Japanese) [A clip from


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雄呂血


 

出演

解説
大正14年7月、日本で初めてスターの独立プロを作った阪妻の独立第二作目。23歳の阪妻をはじめ、スタッフ、キャストのほとんどが10代〜20代の若さ溢れる作品である。特にラスト二巻にわたる凄まじい乱闘は、日本映画史上最高のチャンバラシーンと評され、剣戟映画の原点であると言われている。さらに、この作品が世の中の矛盾を突いた大変な反体制映画であることも忘れてはならない要素である。

阪妻生誕90年の今年、阪妻のスクリーンに賭けた熱き情熱を、若き日の記念碑的傑作であるこの『雄呂血』から少しでも感じとって戴ければと思う。

又、フィルムの保存に於いては壊滅的な打撃を受けた日本の無声映画にあって、この作品は全十一巻のオリジナル・ネガが保存されていることも記しておきたい。

略筋
享保の頃、或る小さな城下町での事。漢学者松澄永山の誕生祝いの酒宴で、家老の伜浪岡真八郎は権勢をかさに傍若無人の振る舞いをし、塾生の久利富平三郎と口論の末取っくみ合いの喧嘩となった。門弟は真八郎に味方して平三郎が悪い様に先生に告げたので彼は激しく詰責され、彼が秘かに想いを寄せる永山の一人娘奈美江にも、乱暴をする様な人は嫌いだと告げられてしまう。

数日後、侍達が永山や奈美江のいかがわしい噂をしているのを聞き、平三郎はカッとなって侍達に手を上げてしまった。事情を知らぬ先生には破門され、奈美江には絶交され、到々この土地を追い払われる事になってしまった。

平三郎は惨めな流浪の旅を続けた。ふと吉野川という料理屋の前を通り掛かった時、その家のお千代という娘に心を惹かれた。彼の暗い心にも一道の光明が兆した様に思われたのだった。

或る料理屋の二階から突然無礼をされた彼は憤然と抗議に出たが、女将は強請と思い金を与えようとするが、それが却って彼を怒らせ、激しく抗議した彼は駆け付けた捕手に捕えられてしまった。

二ヶ月の入牢後、彼はお千代の事を思うとどうしてもこの土地を離れる事が出来なかった。思案している彼を呼び止めた男がいた。牢屋で知り合いになった二十日鼠の幸吉である。

二人は或る夜吉野川へ行ったがお千代は恐れてお酌にも堪え得なかった。些細な事からお客と幸吉の乾分が喧嘩になり平三郎は仲裁していたのだが、集まって来た捕手に誤解され捕えられてしまった。

平三郎を自らの悪事に荷担させようと幸吉はお千代を誘拐し平三郎に差し出すが、彼には泣いて懇願する彼女を犯す様なことは出来る筈もなかった。そして又も駆け付けた捕手に捕えられてしまった。

破獄して逃れて来た彼はお千代会い度さに吉野川に訪ねて来たが彼女は既に人妻となっていた。追手に追われている平三郎を救ったのは侠客赤城治郎三であった。だが、彼は義侠の仮面を被って奸悪を謀らむ悪人であった。

本当は善人であるのに人々からは“ならずもの”と恐れられている平三郎と、大悪人でありながら人々からは義侠に富んだ親分と敬愛される治郎三。平三郎は世の矛盾を痛切に感じるのであった。

ある夜、治郎三は病に疲れた夫婦者を救けてその病夫から美しい妻を奪おうとした。その女こそは平三郎にとって忘れる事の出来ない初恋の人奈美江であった。平三郎は奈美江夫婦を救うべく、遂に憤怒の刃をはらうのであった。

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