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ニーベルンゲンの歌
第一部 ジークフリート
SIEGFRIED

スタッフ

キャスト


(解説)
ドイツ映画史上に燦然と輝く名作である。ゲルマン民族の間に古くから伝わる一大民族叙事詩「ニーベルンゲンの歌」を第一部『ジークフリート』、第二部『クリームヒルトの復讐』として、二年近い歳月をかけて製作された大作である。『死滅の谷』(二十一年)、『ドクトル・マブゼ』(二十二年)といった傑作を世に送り出し、脂がのっていたフリッツ・ラングが、夫人となったハルボウの脚本を得、世界に名だたるドイツ映画を支えていた優秀なスタッフの協力の下、見事な詩的映像美を完成させた。

主演のパウル・リヒターは『ドクトル・マブゼ』に続いてのラング作品であり、彼の百本近い出演作品の中でも代表作となった。

(略筋)
古代ゲルマンの伝説である。ネザーランド王ジークムンドは、王子ジークフリートをニーベルングに誉れ高き刀鍛冶ミーメの許に預け修業させた。数年の後、ジークフリートは立派に業を修め、白馬にまたがり話にきくニーベルンゲンの宝を求めて出発した。途中、火龍を退治したが、その時火傷した手を唇に当てると、不思議な事に梢の小鳥の囀りを解せるようになった。それによると火龍の血を全身に浴びれば不死身になるという。ジークフリートは早速火龍の血を浴びた。だが、菩提樹の葉が一枚舞い落ちて彼の背に付き、そこだけ血潮が付かなかった。その後ジークフリートは、ニーベルングの族長アルベリッヒを倒して、限りない財宝と隠れ頭巾を手に入れた。ギュンター王と会見したジークフリートは、美しい王妹クリームヒルトを見そめて求婚するが、王の重臣ハーゲン公は彼に難題を持ちかけた。ジークフリートはこれに臆せず、アイスランドの強勇の女王ブリュンヒルデと戦技を競うギュンター王を助け、彼女を破って凱旋した。王とブリュンヒルデ、ジークフリートとクリームヒルト、二組の婚宴が開かれたが、ブリュンヒルデはジークフリートを慕っていたので王には冷たい態度をみせた。王に頼まれたジークフリートはブリュンヒルデの心をつかもうと試みたが、結局彼女は恨み怒って王にジークフリートを殺せと囁く。王の命を受けたハーゲンは、クリームヒルトを欺いて不死身の秘密を聞き出すと、鹿狩りに事よせて彼の背に槍を投げて殺してしまった。ブリュンヒルデは愛惜と悔恨の中でジークフリートを追って自害し果てた。卑劣な暗殺を知ったクリームヒルトは永く呪いと復讐の誓いを立て、黙して悲しみに暮れるのであった。

第二部 『クリームヒルトの復讐』
(略筋)
クリームヒルトはニーベルンゲンの宝を資金に、亡夫ジークフリートを慕う旧家臣を集めて日夜、復讐の機を待っていたが、ハーゲンはラインの河底に彼女の財宝を沈めてその禍根を絶った。その頃フン族のアッチラ王からクリームヒルトを妻にしたいと申し出があった。一族が反対する中、復讐する手段として彼女は再婚の旅に出た。程なく男子が誕生し、喜んだ王は兄弟たちを招くというクリームヒルトの望みを叶えた。彼女の命を受けてフン族の一隊が、同行するハーゲンを襲うが、逆に幼い王子を殺されてしまう。ここに地獄のような殺戮が展開される。最後まで兄ギュンター王を護って生き残ったハーゲンに対し、兄王を殺してまで宝のありかを追求するクリームヒルトは、遂にジークフリートの名剣バルムンクを抜いてハーゲンの首をはね復讐を果たすと、自らの命を絶った。彼女の死骸を抱いたアッチラ王は、悲しい宿命を嘆くのであった。


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