MATSUDA: Nen-Pyo (Japanese)
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人斬伊太郎

 

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(解説)
長谷川伸の原作は「週刊朝日」新年増刊号の特別長篇読物として掲載された。全九巻の作品であるが、現存しているフィルムは十分程度。しかし、見所である乱闘場面は幸いにも残っている。

並木鏡太郎の演出は、大胆なカットバックや乱闘における移動撮影など、当時、マキノ正博が好んで用いた手法を随所に使って成功し、この年のマキノ映画ではナンバーワン作品との評価を得た。原作者の長谷川伸も「映画『人斬伊太郎』は、仲々いゝものであった」と雑誌に感想を寄せている。

主演の谷崎十郎は、嵐寛寿郎や片岡千恵蔵の抜けたマキノ映画に主演級スターとして迎えられ、阪東妻三郎と良く似た風貌で一時期ながら多くの人気を得ていた。又、大林梅子演じるお秋は原作にはない役である。

(略筋)
上州者の遊び人の伊太郎は「人斬り」の異名をもつ冷血漢であった。赤城山麓の大間々で酒乱の武士を斬り捨てると、その息子一太郎に仇とつけ狙われ、一時その身を弥太五郎源七の家に預けたが、源七が一太郎に味方したため、辛くも逃れざるを得なかった。その道すがら、伊太郎は心中しようとしている芸妓吉弥と情人清太郎に出会った。そして一度は助けておきながら、金を奪うと二人を殺して悪の限りを尽すのだった。

酌婦のお秋は、そんな伊太郎に命がけで惚れていた。だが、そんな心も踏みにじる程の男だった。

仇と狙う一太郎と助勢の七三郎が伊太郎の目前に現われた。伊太郎の悪運尽きる時が来たのである。健気にも伊太郎をかばおうとしてお秋も共に斬られた。その時初めて、伊太郎に人間らしい心が戻ったのだった。


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